2014/11/18

デザイナーと模倣品をへだてるもの「意匠権」(後編)


近年、輸入が増加傾向にある模倣品は、健全な産業の発展を阻害するだけではなく創造者であるデザイナーの人格的権利も侵害する許し難いものである。その予防策の一つとして特許庁へ登録する「意匠権」がある。意匠権は特許権に比べて安価に取得でき、またデザインだけでなく場合によっては技術の保護に繋がることもあるため会社の規模や創造者の職種に限らず幅広く活用することができる。前半の概略に引き続き後編では実際に意匠権に取り組んだ中小企業等を特許庁発刊の知的財産権活用事例集2014から抜粋して紹介する。

【株式会社兼古製作所】(新潟県三条市)http://www.anextool.co.jp/
ドライバーなどの工具メーカーであり、「ANEX」ブランドで知られている。工具市場において他社とデザインで差別化を図っているため意匠権をしっかりと抑えている。部分意匠制度の活用もしている。

【広島化成株式会社】(広島県福山市)http://hiroshimakasei.co.jp/
ゴム・合成樹脂製品メーカーであり、自動車用シール材などを扱う一方でカジュアルスニーカーなど靴の開発・生産も行っている。開発した靴が数年前にグッドデザイン賞受賞したころから国内で模倣品が出回るようになり意匠権の登録を強化し、国内の模倣品排除に一定の効果があった。

【みのる産業株式会社】(岡山県赤磐市)http://www.agri-style.com/
除草剤散布機等の農業機械メーカーであり、北海道の田植機シェアは6割以上。国内では特許権の出願目標を年間50件以上とし、一方で中国では意匠権に積極的であり、田植機の苗箱などを出願している。

【イーグル・クランプ株式会社】(奈良県生駒市)http://www.eagleclamp.co.jp/
作業現場で使われるつりクランプ製品メーカーで、クランプによる事故ゼロを目指す。 しかし海外で模倣品が事故を起こせば場合によっては自社に責任が降りかかる可能性があり、その予防として意匠権登録を活用している。社員の創造モチベーションを高めるため製品の売上に応じて利益発生時支払金を付与しているが、創造者だけでなく営業担当者にも同様に付与している。

【徳武産業株式会社】(香川県さぬき市)http://www.tokutake.co.jp/
左右サイズ違いや片足販売をしている高齢者向けシューズ「あゆみ」のメーカー。高齢者は左右の足の大きさが違うことを起因に転倒してしまうことがあり、その解決策として「あゆみ」が開発された。ヒットからしばらくして模倣品が出回ったため、その後の製品につき意匠権の取得を進めた。意匠権の話ではなく余談になるが、徳武産業ではシューズの左右サイズ違いだけでなく靴底やかかと部をオーダーメイドでき、そのシステムに対して弁理士からはビジネス特許の取得を薦められたことがある。しかしこのきめ細かな対応が市場のスタンダードになることを望み出願をしないでいる。

(Betonacox Design)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。
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