「再生エネ改革」のゆくえ ~ 新規メガソーラー導入は原則停止の方向


経済産業省・新エネルギー小委員会では、「再生可能エネルギーの最大限の導入拡大に当たって直面する課題の整理」と題する資料が提示された。役所が出す資料には、それなりの意味が込められている。昨今大問題となっている太陽光(メガソーラー)に関して、今後の改革の方向性がにじみ出ている。役所資料の原本は下に貼付した2枚の資料の通りだが、これら11項目の論点のうち“精神論”を除いて、具体的な利権配分論に直結するものを抜粋すると、次の6項目通りだ。

(1)認定件数を見れば、年度末の駆け込みが問題であるのは明らか。現行制度の範囲で、駆け込み対応などの年度末や、来年に向けた対策を行うべき。

(2)早急に非住宅太陽光の設備認定はストップすべきではないか。

(3)太陽光発電協会の資料によれば、毎年、工事することができる太陽光の上限は7~8GW程度とのこと。それ以上認定を行うことは、実質的にはその年度に運転開始することができないにもかかわらず認定により高い価格を認めるようなものであり、認めるべきではないのではないか。

(8)太陽光発電システムが大量導入されたことにより、数十年後に大量の廃棄が予想されるため、その適切な処理とリサイクルに関する技術開発等を行うべきではないか。

(10)メガソーラーの急増により、新たな環境問題が起きているのではないか。景観の問題や、森林の伐採の問題に対して、対応を行っていくべきではないか。

(11)FITの成果として、太陽光発電導入にかかるコストがどれだけ下がってきているかというコスト低下状況を公開することが必要。

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総じて、メガソーラー(非住宅太陽光)の新規導入を制限する方向性が提起されている。その根拠として、再生エネの送電容量が足りないことだけではなく、工事することのできる太陽光の年間上限、使用済みの太陽光発電システムの処理・リサイクル、景観や森林伐採など環境問題への対応といったことを明示している。

更に、太陽光の買取価格を引き下げる根拠としての導入コストの公開についても言及している。本来ならば、再生エネの固定価格買取制度の発足前からこうした諸課題への克服策を表立って検討しておくべきであった。だが、実際はそうではなかった。とにかく再生エネを増やそうと、役所は半ば闇雲にメガソーラーを認定してきたのだ。

再生エネは、前民主党政権時代に脱原発の象徴のような位置付けで、奇妙な“政治主導”によって無謀な導入促進の旗が振られてきた。その大きなツケが今になって顕在化し、認定を受けたが発電開始には至っていない再エネ事業参入者が大混乱しているのだ。

今後の新規参入を制限するのはまだしも、既に権利を取得した再生エネ事業者に対する利害調整策はまったく提起されていない。下手をすると、今回バカを見た再生エネ事業者、特にメガソーラー事業者たちは国会賠償を起こす可能性がある。

だから何らかの解決策が必要となる。それは要するに、再生エネ接続を増やしていくための投資財源をどうするかという問題なのだ。解決策としては、原子力事業との協調に依ること以外には妙案はない。つまり、原子力発電を今日にでも再開させ、その収益の一部を再生エネ振興に充てるのだ。これは、原子力と再生エネの共存という『国産エネルギー政策』である。これを堂々と打ち出せば、今回の再生エネ問題の相当部分は数年以内に確実に解決する。もちろん、地方創生にもなる。安倍首相が政治判断するだけのことだ。

(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。 本稿は筆者の個人的な見解です。