日銀の追加緩和決定は31日か?


10月に入り世界的な株安で9月に16,300円台まで上昇していた日経平均株価は16日終値で14,700円台まで下落している。また、一時110円をつけた米ドル対円相場は1米ドル=105~106円台まで円高米ドル安が進んでいる。

政府からは消費税増税を決定するために、景気の先行指標である株価を高い水準にしておきたいという意思を感じるが、日銀の追加緩和は株価を浮揚させる最後の切り札といった位置づけだろう。9月まで日経平均株価は順調に推移していたので追加緩和の切り札を出す必要はなかったが、それ以前に急激な円安進行が起きたことで政府要人から円安けん制発言が出てきたため、追加緩和カードをきることが難しい状況だった。追加緩和によっていっそう円安が進行することが予想されたためだ。

だが、現在の状況は9月までの状況から一変した。NYダウは大幅下落が頻発するようになり、海外勢の日本株売りも目立つようになった。これ以上の株価下落が生じると景況感にマイナスを与え、世論の支持を得て消費税増税を決定することは難しくなるだろう。政府サイドでは株価維持のために日銀に追加緩和をしてほしいと考えているのではなかろうか。また、急激な円安進行が落ち着いた現在の為替水準であれば追加緩和を行っても極端な円安になりにくいことから、政府と日銀は追加緩和を早めてくる可能性が高いと思われる。筆者は31日に行われる日銀の金融政策決定会合で追加緩和が決定されると予想している。

31日に日銀が追加緩和を決定することを前提とする場合、30日あたりまでに株価上昇と円安に備えたポジションをとってみてもよいだろう。ただし、さすがの日銀といえども世界規模のリスクオフにともなう日本株売り・円買いにはかなわず、追加緩和による株価上昇と円安は短期的な効果にとどまるものと思われるので、保有するロングポジションは短期投資を前提としたものがよいだろう。また、すでにショートポジションを保有している場合は27日の週は一旦解除して様子見することを考えたい。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。