先月22日の朝日新聞ネット記事によると、「雇用調整助成金」について、2009~13年度に1265社191億円の不正受給があったことが厚生労働省のまとめでわかったとのこと。
<記事要旨>
・助成金は、売上が急減した企業が社員を解雇せず、休業にとどめれば、1人1日7805円を上限に休業手当の最大3分の2を国が補う。
・09~13年度、月5千~10万社が申請し、支給額は計1兆3815億円。
・虚偽申請などで、09年度91社8億円、10年度355社37億円、11年度295社52億円、12年度339社60億円、13年度185社34億円の不正受給。
支給額の総額が1兆3815億円であるのに対して、不正受給額の総額が191億円なので不正受給額割合は1.4%となる。総額ベースで見ると、191億円というのは決して看過できない金額だ。では、1人当たりに換算すると、どの程度になるのか。
09~13年度での雇用調整助成金の支給状況は下の資料の通りで、09~13年度の支給対象者数は計46088067人。単純計算すると、09~13年度の年平均での1人当たり受給額は5995円(=1兆3815億円÷46088067人÷5年)となる。
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不正受給額については、09~13年度の年平均で1人当たり83円(191億円÷46088067人÷5年)となる。09~13年度で月平均76.8万人(=46088067人÷5年÷12ヶ月)の個人を対象とする助成金を1円たりとも不正なく支給することの難しさは、こうした点からも見て取れる。
(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa)
※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。 本稿は筆者の個人的な見解です。