北海道電力への仕打ちがあまりに酷い


昨日の毎日新聞ネット記事にも書いてあるが、北海道電力は今、あまりにも酷い仕打ちを受けている。いや、正確には北海道の電力需要家、即ち北海道民に対してである。

北電は、家庭向け電気料金を平均17%値上げするための認可申請を経済産業省に提出している。泊(とまり)原子力発電所の再稼働が予定よりもかなり遅れているため、火力発電用の追加燃料コスト分を料金に反映させるためだ。これは、昨年9月の値上げに続く2回目。

この認可申請を審査する経産省・有識者委員会では、「人件費削減など経営効率化の努力不足を指摘する声が上がっている」ようで、「値上げ幅の圧縮は必至」と報じられている。

しかし、これはとてもおかしな話だ。人件費はもちろん、設備投資関連費や修繕費も、昨年9月の値上げ認可の際に非常に厳しく査定されたばかりだ。あれからまだ1年も経っていない中で、これらの費目で追加的に削減する余地が出てくるはずはない。

経産省・有識者委は、昨年の値上げ認可の際、人件費などの審査や原発再稼働の見通しが甘かったということにもなる。自らの査定の誤りを先ず弁明すべきだ。経費に占める割合が相当低い人件費をいくら削っても、経費に占める割合が相当高い燃料費の増分を賄うことはできない。

今回の値上げは、前回の値上げと同様に、電力会社の経営責任でなく、政府の行政責任である。北電に責任が全くないにもかかわらず、北電に無理なリストラを求めている。これはあまりにも酷い仕打ちだ。

他の電力会社にも同じことが言える。政府は、こんなことをいつまで続けるつもりなのか?この経産省・有識者委には真っ当な消費者感覚はないのだろう。なぜ、泊原発の早期発電再開を提言しないのか?料金値上げを回避するには、泊原発の再稼働しかない。それは、実は誰でも知っていることなのだが・・・。

(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。 本稿は筆者の個人的な見解です。