1割の企業で営業秘密漏洩の疑い 防止取り組みは半数にとどまる


帝国データバンクは11日、営業秘密に関する企業の意識調査を実施し、その結果を発表した。

営業秘密の漏洩について、自社の見解としてどのように考えているか尋ねたところ、8割超の企業が「重要である」と回答した。「重要ではない」は12.3%、「分からない」は5.4%となった。 「重要である」と回答した企業を規模別にみると、「大企業」が87.6%、「中小企業」が80.7%、「小規模企業」は74.3%だった。

業界別にみると、営業秘密の漏洩に対する重要性を最も強く認識しているのは「金融」 だった。次いで、「サービス」「製造」「卸売」が続き、最も割合が低い「農・林・水産」においても7割を超えている。

自社において、過去5年間での営業秘密の漏洩事例の有無を尋ねたところ、「漏洩事例はなかった」が75.8%となり、8割近くの企業では営業秘密の漏洩はみられなかった。しかし、「漏洩事例があった」(1.7%)と「漏洩と疑われる事例があった」(7.8%)を合わせると約1割の企業で営業秘密漏洩の疑いのあることが明らかとなった。

業界別では、「金融」が13.6%で最も高く、「小売」「不動産」「農・林・水産」「卸売」が1割を超えた。


自社の保有する情報について、営業秘密の漏洩防止に取り組んでいるか尋ねたところ、「取り組んでいる」と回答した企業は51.6%と半数にとどまった。他方、「取り組んでいない」企業は35.2%だった。

また、営業秘密に関する認識別にみると、「重要である」と認識している企業では、漏洩防止に取り組んでいる企業は6割を超えているが、重要性を感じていない企業では1割程度にとどまる。

営業秘密の管理に関して、具体的にどのような取り組みを実施しているか、または今後実施するか複数回答で尋ねたところ、「情報の管理方針等の整備」が37.5%で最多となった。次いで、従業員や役員、取引先などとの「秘密保持契約を締結」(36.6%)、「データ等の持ち出し制限を実施」(33.7%)、「営業秘密とそれ以外の情報を区分」(28.2%)、「データ等の暗号化・アクセス制限の実施」(22.9%)の順に多かった。

調査期間は2014年8月18日~31日。調査対象は全国2万3533社で、有効回答企業数は1万 10231社(回答率46.8%)。