介護産業の賃金は低いのか? ~ 平均賃金は労働者21.3万円、施設長35.2万円


公益財団法人介護労働安定センターが先週今月11日に発表した「平成25年度 介護労働実態調査結果」は以下の通りで、そこでは介護産業の賃金水準が掲載されている。

○1年間(平成24年10月1日~平成25年9月30日)の離職率16.6%、採用率21.7%

○従業員の過不足状況
・不足感(「大いに不足」+「不足」+「やや不足」)56.5%、「適当」43.0%
・不足している理由:「採用が困難である」68.3%、「事業拡大をしたいが人材が確保できない」19.3%
・採用が困難である原因:「賃金が低い」55.4%、「仕事がきつい(身体的・精神的)」48.6%

○運営上の問題点:「良質な人材の確保が難しい」54.0%、「今の介護報酬では人材の確保・定着のために十分な賃金を払えない」46.9%

○労働者の所定内賃金:労働者212,972円/月、施設長(事業所管理者):352,197円/月

○仕事を選んだ理由:「働きがいのある仕事だから」54.0%

○労働条件等の不満:「人手が足りない」45.0%、「仕事内容のわりに賃金が低い」43.6%、「有給休暇が取りにくい」34.5%、「身体的負担が大きい(腰痛や体力に不安がある)」31.3%

介護職は「3K」で離職率が高い職業だ、と語る介護産業界の人は少なくない。では、上記の「離職率16.6%」は他業種と比べてどうなのだろうか?「平成24年雇用動向調査結果の概況」(厚生労働省)によると、全産業平均の離職率は14.8%である。ということで、介護職だけが特別に高い離職率だというわけでもない。

介護職は、低賃金であることがしばしば問題視される。「日本の統計2014」(総務省統計局)によると、産業計の月間給与は男36.2万円、女25.0万円となっている。介護職については、下の資料にある通り、労働者(施設長を除く)が21.3万円/月の水準であることがよく取り上げられるが、施設長は35.2万円/月となっている。

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こうして見ると、他の産業に比べて介護サービス業が低賃金であるというのは、労働者(施設長を除く)に関してであることがわかる。介護労働者の賃金引上げは、今後の最重要課題の一つであるに違いない。

(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。 本稿は筆者の個人的な見解です。