経産省審議会の消費者意識調査は酷過ぎる ~ 異常なまでに恣意的かつ誘導的


先月、経済産業省が“電力全面自由化”に関する消費者意識調査を行った。その結果は次の資料に掲載されている。

⇒ “小売自由化に関する国民意識調査の結果概要について

さて、その内容であるが、こんな恣意的かつ誘導的な調査を政府が本当に行ったのかと思うほど驚くべきものだ。その代表例が下の資料。

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この資料の限りでは、質問項目は資料の左側にある「家庭では、今は電気を購入する電力会社を選ぶことが出来ない」、「「電気の小売自由化」によって、電気を購入する電力会社を自由に選べるようになる」、「電力会社どうしで競争を行うことで、電気料金が抑制される」等々が用意された質問となっている。

これらの質問の殆どは、明らかに現時点では絵空事ばかりであり、かつ、欧米の先行例からすると失策と捉えられるものも多い。経産省は、欧米諸国の先行例や日本の資源調達構造といった重要な事項を知らせた上で調査を行ったのか。

日本の殆どの大手マスコミは、こぞって“電力全面自由化”を称賛している。しかし、そのことだけを以て調査をしたのだとしたら、とんでもないことだ。これは消費者の正確な知識に基づく意識を調査したのではなく、消費者の漠とした観念に基づく意識を調査したに過ぎないのではないか。

調査するのは勝手だが、政府の公式審議会で提出し、かつ、それを政策意志決定の材料とするには、あまりにも不適格な調査である。こういうことをするから、今回の“電力全面自由化”は信頼も信用もできないのだ。 

(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。 本稿は筆者の個人的な見解です。