レバETFの意外と知られていない弱点


株式の売買代金ランキングを見ると日経レバETFが頻繁にランクインしていることが多い。日経レバETFとは日経平均株価の変動率の2倍変動する仕組みになっているETF(上場投資信託)のことだ。レバETFは2倍動くが、この何倍動くというテコの効果をレバレッジという。レバはレバレッジの略称だ。

今年から始まった少額投資非課税制度(いわゆるNISA)では上場株式や株式投資信託などの売買益などが非課税になるが、レバETFもNISAの対象にできる。しかし、レバETFは以下の理由からNISAには向いていない。というかNISA口座で買ってはいけない商品といえる。ところで、昨年はNISAのイメージキャラクターは剛力彩芽さんだったが、どうやら香取慎吾さんに交代した模様。サイトも「剛力彩芽のNISAラクラクWeb」から「NISAはじめてさんこちらです。」に変わっていた。全くの余談だが。

さて話を戻すと、レバETFは厳密には株価指数に対して変動率の○倍動くという仕組みになっており、変動幅の○倍ではないことに注意が必要だ。日経平均株価が1%上昇したら日経レバETFは約2%上昇するということだ。ただしこれは1日での話。1日を越えるとちょっとおかしなことになる。例えば、日経平均株価が15000円⇒15500円(+3.33%)⇒14500円(-6.45%)⇒15000円(+3.45%)で推移したとすると、日経レバETFは10,000円⇒10666円(+6.66%)⇒9290円(-12.90%)⇒9931円(+6.90%)となる(10,000円分保有していた場合。手数料や信託報酬、日経平均株価と日経平均先物の乖離などは考慮せず)。

ん?と思った方はとても鋭い。日経平均株価は15000円で始まって15000円に戻ったのに、日経レバETFは戻っていないのだ。レバETFはこのように上げ下げを繰り返す相場では目減りしていく特徴がある。なぜこうなるかというと、レバETFやブルベア投信は投資家の資金を集めて運用される投資信託の一つだが、運用者は毎日運用残高の2倍になるように日経平均先物を買い建てている。つまり日経平均株価が上昇すれば先物を買い増し、下落すれば減らすという調整をしているので、日々の変動率は日経平均株価の変動率の2倍にはなるが、この日々の調整のために1日以上の期間で見ると変動率の2倍にはならないのだ。

株式相場は1本調子で上昇または下落を続けることは少ない。上げ下げを繰り返すものだ。日経レバETFは数日~数週間の短期売買に向いた商品であり、長期の保有には向かない。短期売買によって非課税枠が減ってしまうNISA口座には不向きな商品であることには注意してもらいたいものだ。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。