五十日(ごとおび)はドル高株安?


「今日は五十日(ごとおび)だから道路が渋滞してるわ~」とか、「銀行でお金を下ろそうとしたら五十日だからATMが大混雑でさ~」という話を聞いたことがある人もいるだろう。五十日は毎月の5日、10日、15日、20日、25日と、30日もしくは末日のことで、事業会社が取引決済日にすることが多いことから道路や銀行が混雑するといわれている。

投資の世界では海外と取引している企業が決済のためにドルを買うことが多いとされ、五十日には円安・ドル高になりやすいというアノマリー(理論的には説明のつかない現象)があるとされる。それなら為替に影響を受ける株価にも何かしら五十日アノマリーがあってもおかしくない。そこで2009年から2014年5月29日までの日経平均株価と米ドル対円相場の変動率について、五十日とそれ以外の日で調べてみた。なお、毎月の取引所最終営業日が5の倍数でない場合は五十日に含めていない。

検証の結果、日経平均株価は五十日の平均が-2.1%(年率)、それ以外の日の平均が14.2%(年率)で、米ドル対円相場は五十日の平均が3.9%(年率)、それ以外の日の平均が0.7%(年率)であった。この期間において米ドル対円相場は五十日アノマリーのとおりとなったが、日経平均株価は五十日に安いというちょっと意外な結果となった。

また、五十日に値動きは激しくなるのか?ということも気になるので標準偏差も調べてみた。標準偏差が大きいほど価格変動が大きいということになる。日経平均株価の標準偏差は五十日が24.4%(年率)、それ以外の日の平均が21.6%(年率)で、米ドル対円相場の標準偏差は五十日が10.3%(年率)、それ以外の日の平均が9.9%(年率)であった。日経平均株価、米ドル対円相場も五十日はやや変動が大きくなるという結果となった。

まとめると、五十日には値動きを伴って米ドル対円相場は上昇する傾向があるが、日経平均株価は下落する傾向がある、といえるかもしれない。為替相場に投資している方なら五十日の前に外貨を買って五十日に外貨を売る、株式投資をしている方なら逆に五十日に買って、五十日前に売るというトレーディングが有効かもしれない。五十日ごとにトレードするので、なかなか利食い・損切りができない投資家向きの戦術といえるだろう。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。