デザイナーと地域をつなぐもの「ローカルヒーロー」



日本のあちこちに自治体や有志の市民などが生み出したローカルヒーローが存在する。彼らの一番の使命は愛する地元をアピールすることであり、そのひとつの工夫としてコスチュームやアクセサリーのデザインに地元の名産を取り入れている。

■ サーモンファイター ルイベ (北海道)
サーモンの化身で悪の密漁組織と戦う。顔の造形が秀逸で触角から口元にかけてサーモンがうまくかたどられている。また、ルイベが持つ武器サーモンブレードの柄もサーモンになっており、柄頭の尻尾がバランスのいいシルエットを生み出している。

■ リアスの戦士 イーガー (宮城県)
伝説のゴールデンウミネコの生まれ変わりで女川の平和を守るためワルワル団と戦う。こちらは造形ではなく武器の名称にうまく名産を盛り込んでいる。ヤリイカの槍である「ヤリイーガー」、養殖日本一を誇った銀鮭の剣である「ギンジャ剣」、養殖ホタテの盾である「ホ盾」がある。ちなみにギンジャ剣とホ盾は東日本大震災の津波で流されて無くなってしまったが、4月にファンが町内で相次いで見つけ、メンバーに届けたとのこと。

■ 東北合神 ミライガー (東北六県)
東北のローカルヒーロー5体とのコラボで誕生しておりガラッシャー帝国と戦う。コラボしている5体のヒーローのデザインを取り入れており、太腿は秋田県、肩は山形県、腕は岩手県、脚は福島県、ベルト脇の装飾は青森県のヒーローのものである。くわえて目は独眼流(宮城)、胴体はなまはげ(秋田)、背中はねぶた(青森)、肩は山伏の法螺貝(山形)、膝は白虎隊(福島)、小手はチャグチャグ馬コ(岩手)と六県の名物があしらわれており、それにも関わらず全身を見通したデザインはきれいにヒーローらしくまとまっていて脱帽ものである。ちなみにミライガーの武器は東北六県をかたどった東北六剣である。

他にも栃木県の精霊法士トチノキッド、京都府の醍醐五大伝道法士ゴダイリキ、広島県の安芸戦士メープルカイザー、鳥取県のネギマンなど地元の名産や名所を取り入れた優れたデザインのローカルヒーローはいくつもあり、今日も悪と戦っている。

(Betonacox Design)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。