「待機児童」というと、0~6歳児までの未就学児であって希望する保育サービスを受けられない児童のことを指すことが一般的だと思われるが、小学生以上の就学児にも『待機児童』がいる。それが、放課後児童クラブ(学童保育)を利用できない児童のことだ。
厚生労働省の直近の調査によると、概要は次の通りで、近年の推移を資料〔=クラブ数、登録児童数及び利用できなかった児童数の推移〕に掲げる。
○放課後児童クラブ数 平成24年 2万1,085か所 → 平成25年 2万1,482か所
○登録児童数 平成24年 85万1,949人 → 平成25年 88万9,205人
○利用できなかった児童数(待機児童数) 平成24年 7,521人 → 平成25年 8,689人
今年4月からの消費増税が、社会保障財源の充実のために実施されるものだが、高齢者向け対策に偏重していることに加え、配分の少ない子ども子育て対策にあっては、未就学児童の保育政策には若干配分されるものの、学童保育への配慮は殆ど期待されていない。
学童保育に係る待機児童数の把握に加え、この分野への予算配分を今後加速していく必要がある。政府の待機児童解消加速化プランは、学童保育を組み入れる形で大幅に拡充していく必要がある。膨れ上がり続ける高齢者向け対策予算のほんの幾ばくかを振り分けるだけでも、『2つの待機児童』への対策となる。
今後当面の政治の役割は、高齢者一人当たりの利権を現役世代の子ども子育てに徐々に転用していくことである。少子高齢社会における福利厚生の配分のあるべき姿とは、そういうものであろう。
(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa)
※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。 本稿は筆者の個人的な見解です。