関西電力の料金再値上げは誰の責任か?


先週4月24日付け日本経済新聞ネット記事によると、関西電力は、大飯原子力発電所の年内の再稼働が極めて厳しくなり、高浜原子力発電所も再稼働が遅れそうとのことで、電気料金の『再値上げ』を検討するとのこと。

関西電力は昨年5月1日、原子力発電所の停止に伴う追加燃料費の増加などを理由として、規制部門で9.75%、自由化部門で17.26%の値上げが実施された。当然のことながら、これは政府の査定によるものだ。

この査定では、「(当時)稼働中の大飯原子力発電所3、4号機に加え、高浜原子力発電所3、4号機が、平成25年7月から再稼働されることを仮定している」となっている。更に、この査定には、人件費、LNG調達価格、購入電力料、設備投資関連費用、修繕費、公租公課、バックエンド費用、スマートメーター関連費用などについても、細かな合理化策が包含されている。

これらの原価算定期間は平成25〜27年度となっているので、追加的な合理化策を今再び期待することには無理があるだけでなく、それを政府(経済産業省、消費者庁など)が関西電力にこの原価算定期間中に追加的に求めることは、自らの査定に係る将来見通しの甘さと矛盾を露呈させることになる。

上記記事と同日に掲載された日経新聞社説では、「電力の安定供給を確保するには原発の再稼働は欠かせない。原子力規制委員会は科学的な見地から原発の安全審査を進めている。電力事情を理由に審査を急ぐよう圧力をかけるのは筋違いだが、規制委は迅速に審査してほしい」と書かれている。これは全くその通りなのだが、そのためにも“規制委の審査後の発電再開”ではなく『規制委の審査と並行して発電再開』にすべきだ。

その方が、じっくりと時間をかけて規制基準の適合性審査が行えるはずであり、それが中長期的な原子力発電所の安全対策の向上に資することになる。先の値上げも、次の『再値上げ』も、その責任は関西電力ではなく、政府の規制運用にある。

(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。 本稿は筆者の個人的な見解です。