デザイナーとエンジニアをつなぐもの「タスク分析」


エンジニアが商品開発をするうえで、外部デザイナーに依頼したが曖昧でよく分からないアウトプットだった。こんな苦い経験談はよく聞く話。大きな原因の一つはアウトプットに論理性がないことにある。エンジニアは数値や論理で説明できないものを鵜呑みにしないうえ、限られた予算を使って依頼したのだから自らが上司に説明するための納得できるストーリーを欲している。

しかし、そもそも論理だけのアウトプットであればエンジニアだけで十分であり、デザイナーに依頼する意味がない。自分たちにない感覚的なものを期待するが論理的に説明ができなければならないという二律背反の課題に直面することになる。

この課題を解決する方法とし「タスク分析」がある。タスク分析とは、ユーザ(商品の使用者や広告の閲覧者など)が行うものごとをタスクとし、そのタスクを実行するにあたり、ユーザがどのように情報を入手し、どう理解・判断をし、最終的にどのような動作を行うのかをマトリクスにまとめる分析方法である。


マトリクスのマス目に入る一つ一つのアイデアが感覚的なものになったとしても、マトリクス自体であるアイデア展開のプロセスは人間の情報処理の特性に沿ったヌケモレのないものであると論理的に説明することができる。つまり総論部を論理で展開し、各論部を感覚で展開するという役割分担で二律背反を折衷的に解決している。

エンジニアはデザイナーにタスク分析の使用を求めてもよいし、事例的にエンジニア自らが実施してもよい。事例を受け取ったデザイナーはエンジニアの求めている方向性を理解しやすくなり、またそれ以上の内容を求められていることを理解するので、アウトプットのクオリティが底上げされることになる。

デザイナーはタスク分析を使用することでエンジニアへの提案がスムースになるうえ、アイデアを展開するガイドにもなるので効率よく仕事を進めることができる。

(Betonacox Design)

※筆者は「Gadgetwear」のコラムニストです。