東京都は日本一の『高齢街』 〜 都知事選の争点は東京の高齢化問題だ


大手マスコミの報道ぶりなどからすると、今月9日の東京都知事選挙の争点は、“原発 Yes or No?”のワンイシューになってしまいそうな雰囲気になっている。だが、原発政策は国政マターであり、都政マターではない。もちろん、都知事候補者が原発に関して語ることが一切不適切だというわけではない。敢えて言うならば、前回書いた「東京都知事選における『原発』の正しい語り方」のようなことであろう。

都知事選の争点の一つは、明らかに東京都の高齢化問題だ。東京都は国内で最多の人口を抱えるから自治体だから仕方ない面もあるが、はっきり言って、東京都は日本一の『高齢街』である。そして、今後ますますこの傾向は強まると見込まれる。

都市部の問題は、都市部の問題として、都市部で解決するしかないと思われる。高齢化が都市問題であること、特に東京都が最も深刻な『高齢街』であることを示す統計データは幾つもあるが、代表的なものとして資料(出所:厚生労働省資料)を二つ掲示しておきたい。



都知事選の争点として語られるだけでなく、新しい都知事が取り組むべき最大課題の一つが東京の『高齢街』化対策であることは間違いない。東京都の政策は全国の全ての自治体の雛形になるとは思えないが、少なくとも、東京以外の都市部の自治体への先導役になることはできるだろう。

いずれにせよ、都民生活に深い関わりのある課題は、立地していない原発の云々である訳はなく、東京という『高齢街』の抱える諸問題の解決であろう。都政に関するまともな論戦とは、そういうものであるはずだ。

(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa