認可保育所と認可外保育施設で、死亡事故の報告件数に大きな違い 〜 保育施設への国家的な危機管理の整備を


去る12月11日、厚生労働省は、保育施設における死亡事故の追加公表を行った。一目ではわかりづらいが、要するに、近年の保育施設における死亡事故の報告件数は、下の資料の通りだ。


これは死亡事故の報告件数であって、死亡事故の件数ではない。だから、まだ報告されていない事例があるかもしれない。

それはさておき、死亡事故などが起これば、事故調査・検証が行われたり、それを基にして再発防止策を講じたりするのが通常である。だが、保育施設の死亡事故に関しては、国としてそうした危機管理面での対応がどのように打たれてきたのか、実は全然見当たらないのだ。

政府として事故後の対応を逐一行うわけではなく、それぞれの自治体や保育施設の現場に一任しているというのであれば、それも一つの方法ではある。しかし、保育施設ごとの事故後の対応、認可保育所か認可外保育施設かでの違い等々、最低限のデータベースは必要だ。

例えば、平成24年4月現在で、認可保育所は施設数23,711か所、利用児童数2,176,802人、認可外保育施設(事業所内保育施設を除く)は施設数7,579か所、利用児童数186,107人となっているが、死亡事故の報告件数に対する利用者割合は認可外保育施設の方が相当大きい。その理由は何なのか。認可保育所と認可外保育施設では、死亡事故の報告件数に大きな違いを生じさせる差があるのか。

そういったことを始めとして、保育施設での不慮・不幸な事故を一件でも少なくしていく教訓を得るべく、国全体としてのデータ整備は必須だ。保育施設での危機管理は、保育施設を利用する子どもたちや親たちのためであるだけでなく、認可であれ認可外であれ保育施設を運営する事業者側のためである。

(NPO法人社会保障経済研究所代表 石川 和男 Twitter@kazuo_ishikawa