「税制」「原油・素材価格の上昇」来年の景気への悪影響懸念


帝国データバンクは12日、2014年の景気見通しに対する企業の意識調査の結果を発表した。

調査は2013年11月19日~30日にかけて、全国2万2863社を対象に実施し、1万493社から回答を得た。

2013年の景気動向について尋ねたところ、「回復」局面であったと回答した企業は26.2%となり、2012年の景気動向より24.1ポイント増加した。「踊り場」局面とした企業は47.4%に達し、2012年より14.0ポイント増加した。また、「悪化」局面とした企業は前年の50.1%から8.0%へと大きく減少した。

「回復」局面とした企業からは、「アベノミクスによる成長戦略が明確になり、金融庁と経産省が本気で景気回復へ動き始めた年」「アベノミクスにともない始まった円安傾向によって、震災復興需要やオリンピック景気、資材の価格高騰など、景気は着実に回復基調にある」といった声が寄せられ、アベノミクス効果による景気回復を感じていることが分かった。

一方、「悪化」局面とした企業からは、「円安による原材料の値上げ、賃上げ圧力、高速料金見直し等、コストアップ要因が多い」「印刷業界は下降傾向変わらず。特に商業印刷は落ち込みが大きいので、当社にとっては厳しい局面が続く」などの声が挙げられ、アベノミクスの結果としての円安にともなうコスト負担の上昇や業界全般における不振を感じている企業もあった。

2014年の景気見通しは「回復」局面を見込む企業が23.7%となり、前年の9.1%から大きく増加した。「踊り場」局面と予想する企業は34.6%、「悪化」局面は16.5%となった。


規模別でみると、「回復」と「悪化」について「大企業」と「中小企業」で大きな差がみられない一方、「小規模企業」は「大企業」と比べて「回復」が5.1ポイント低く、「悪化」が5.8ポイント高く、規模の小さい企業ほど2014年の景気を厳しくみている。

2014年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料は、「税制(消費増税、復興増税含む)」が58.6%で最も多かった。次いで、「原油・素材価格(上昇)」が53.0%となり、いずれも前年調査と比較すると景気への悪影響を懸念する企業が大幅に増加した。以下、「為替(円安)」が22.0%、「中国経済」が21.3%、「米国経済」が17.5%と続いた。

今後、景気が回復するために必要な政策は、「個人消費拡大策」が39.5%で最も多く、「所得の増加」が38.7%、「法人向け減税」が38.7%、「個人向け減税」が29.8%と続き、いずれも前回調査から大きく増加した。