今年も残りあとわずか。来年の事を言えば鬼が笑う、というが日常生活においても投資においても備えあれば憂い無し。来年起こりうる様々な経済イベントやシナリオと、それに応じた投資行動を考えておくのは無駄なことではないだろう。来年起こりそうなシナリオはいくつか考えられるが、その中でも確定しているのは消費税率(地方消費税を含む。以下同じ。)が5%から8%にアップすることだ。
消費税率がアップする前は、いわゆる増税前の駆け込み需要で、家電や服飾品のほか、自動車や住宅まで一時的に消費者の購買意欲が高まるとされるが、それは需要の先食いであって税率アップ後は反動で消費がしぼむといわれている(個人的には税率アップ後の方が値引き交渉しやすいと思っているのだが)。そのため株価は税率アップをきっかけに下落すると考えられる。実際のところはどうだったのか?過去の事例を調べてみた。
表は1989年4月に消費税(3%)が導入されたときと、1997年4月に消費税が5%にアップしたときの前後3年の日経平均の株価だ。参考として来たる2014年4月も加えた。1989年は導入直前をピークに株価は下がっている。1997年も消費税率アップ後2年間は下落した。すると2014年4月以降も株価は下がってしまうのだろうか?
株価に影響を与えるのは消費税だけではない。1989年は日経平均株価が史上最高値をつけた年であり、その後バブル崩壊へと続く年だった。消費税導入が株価下落の主な要因ではなかったと思われる。また、1997年の消費税率アップの3年後はいわゆるITバブルに沸いた時期であり、消費税率アップ直前の株価を上回っている。
2014年4月の3%アップ分の税収は7.5兆円とされるが、報道によると政府の経済対策は5兆円を上回る規模になるという。来年4月以降の株価動向には注意が必要だろう。
(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。