東京五輪、4社に3社が「特需」期待


帝国データバンクは、2020年の東京五輪に対する企業の見解について調査を実施し、その結果を発表した。

日本経済全体で見たとき、2020年東京五輪特需への期待の有無を尋ねたところ、「ある」と回答した企業は76.0%となり、4社に3社が日本経済に特需があると考えていることが分かった。一方、「ない」は1割未満となった。

「ある」と回答した企業は、「東京」の企業が8割を超えたほか、全規模、全10業界、全10地域でもすべて7割を超えており、多くの企業が東京五輪特需に期待を示している。企業からは、「建設業界の特需は予想できる」「五輪特需というよりも、これにともなった周辺整備に期待したい」「東京五輪はあくまで短期的な経済効果をもたらす特需として認識し、日本にとって本当に経済成長させるべきものは何か議論すべき」といった声が挙がった。また、特需が「ない」とする企業からは、「一時的な特需が出たとしても、その後の急速な冷え込みは過去にも経験している」「一過性の特需であり、五輪が終われば特需も終わる」など、五輪後を懸念する意見がみられた。


2020年に東京五輪が開催されることで、自社の業績にどのような影響があるか尋ねたところ、「影響はない」が39.1%で最も高かった。一方、「プラスの影響」があるとした企業も33.4%となり、3社に1社が自社業績に好影響と見込んでいる。逆に、「マイナスの影響」は4.3%にとどまった。

「プラスの影響」を規模別にみると、「大企業」が39.0%、「中小企業」が31.7%で、大企業ほど業績への影響に期待している様子がうかがえる。

業界別では、「サービス」が36.3%で最も高く、「製造」(34.3%)、「卸売」(34.2%)、「建設」(33.9%)、「運輸・倉庫」(32.3%)が同程度の割合で続いた。

地域別では、「南関東」(45.2%)が4割を超え、以下「近畿」(34.9%)、「北関東」(31.8%)が続いた。さらに、都道府県別でみると、「千葉」が47.3%で第1位となり、以下、「東京」(47.1%)、「神奈川」(40.0%)、「大阪」(38.5%)、「埼玉」(38.0%)と続き、『南関東』の一都三県がいずれも5位以内に入った。「群馬」(37.3%)や「栃木」(34.2%)の北関東のほか、四国の「徳島」(36.8%)と「高知」(34.1%)が第7位と第9位となった。

日本の持続的な経済成長のために、東京五輪開催は有効かどうか尋ねたところ、約6割の企業が「有効だと思う」と回答した。一方、「有効だと思わない」は1割程度にとどまった。企業からは、「1964年の東京オリンピックで確立された戦後のインフラを中心にメンテナンスならびに補強の時期にきており、日本の持続的な景気浮揚において今回の東京オリンピックは絶好のタイミング」「オリンピックが開催されることで建設関連、飲食関連、食品、菓子関連、雑貨関連など、あらゆる業界に相乗効果をもたらして経済成長に有効な要因を作ることになる」といった、経済を活性化するチャンスと捉えている意見も多い。また、「オリンピックを機にアジアの中心であることを再認識し、日本の良さを全世界に知ってもらう良い機会になる」「スポーツを通じたビジネス、人的交流が閉塞感のある経済にカンフル剤となる可能性がある。また、若年層にも刺激を与え、海外志向の流れが生まれる」「スポーツ文化の発展や、各地域がスポーツと健康をテーマに活動起点を作る良い機会」など、海外や生活面に与える影響を期待する意見も挙がった。

調査は、2013年10月21日~31日にかけて、全国2万2766社を対象に実施し、1万769社から回答を得た。