株式市場の底打ちを示すプット・コールレシオ


米議会で財政問題をめぐる与野党間の対立が一応決着し、17日の米国株式市場、翌朝18日の日本株式市場は上昇した。米国の財政問題には依然として不透明感が残るものの、9月中旬以降軟調だった株式相場に底打ちの兆しが出ている。

その兆しとは相場の過熱感を客観的に見ることができるプット・コールレシオという指標だ。プット・コールレシオとは、オプションやeワラント(カバードワラント)の取引で売る権利を意味するプットと買う権利を意味するコールの取引量を指標にしたものだ。一般的に相場に弱気な投資家は相場下落時に価格が上昇するプットを、強気な投資家は相場上昇時に価格が上昇するコールを購入する。プット・コールレシオはプットの取引量をコールの取引量で割ったもので、プット・コールレシオが高い=プットを買う投資家が多い=弱気な投資家が多い、プット・コールレシオが低い=コールを買う投資家が多い=強気な投資家が多い、ということになる。

この図はeワラント証券が日々公表しているプット・コールレシオだ。


青線は日経平均株価の終値、赤線はプット・コールレシオである。10月8日から9日にかけて米国のデフォルト(債務不履行)の懸念が高まったことをうけ、プット・コールレシオは急上昇した。相場の先行きについて弱気な見方をする投資家によってプット型eワラントの取引が活発に行われたためである。その後プット・コールレシオは急落しているが、これは投資家心理が強気に転換した可能性を示している。直近では6月7日にピークをつけている(日経平均株価は12877.53円)が、その後日経平均株価は7月18日に14808.50円と上昇した(プット・コールレシオは0.09に低下)。今回も米国政府閉鎖解除と同タイミングでプット・コールレシオがピークをつけたことから、株式市場の今後1~2ヵ月程度の底打ちを示唆しているかもしれない。

ただし気をつけなければならないのは、プット・コールレシオが著しく低下したところが株価のピークになることがあることだ。図にもあるようにプット・コールレシオが低下した後に相場が崩れることが度々見受けけられる。目安としてはプット・コールレシオが0.1を下回ったら保有している現物株式やコール型eワラントを手仕舞って様子見するか、プット型eワラントを買って積極的に利益を狙うのも一手だろう。

プット・コールレシオは投資家の心理状態を把握できるという点で、過去の取引価格を観察するタイプのチャート分析よりダマシは少ないと思われるが、プット・コールレシオを用いた投資手法が成功するとは限らない。あくまで投資は自己責任で。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。