ドコモのiPhone販売で恩恵が期待できる銘柄とは


NTTドコモがiPhoneを取扱う、と今回は半ば確定したともとれる情報が6日未明報道された。NTTドコモからは本稿執筆時点(6日朝)において「開示すべき決定した事実はございません」と取扱いの正式発表は出ていないが、各報道機関はこの話題をトップニュース級の扱いだ。

6日のNTTドコモ(9437)の株価はこのニュースを好感して高く始まった(その後上げ幅を縮小)一方でKDDI(9433)、ソフトバンク(9984)の株価は下落して始まった。NTTドコモからすると顧客の流出に歯止めをかけられるという効果は期待できるが、iPhone目当てで他社に流出した顧客を取り戻すことができるかは微妙なところ。顧客にとって携帯電話の契約先を変えるのはそれなりに手間がかかるので、よほど他社比較で魅力的な料金プランを提示しない限りいったん他社に流れた顧客を取り戻すのは難しいと思われる。仮にNTTドコモがアグレッシブな顧客取り戻しキャンペーンを展開するとなれば、KDDIとソフトバンクもだまっていないだろうから顧客流出阻止キャンペーンを展開することが想定され、収益面で見れば各社販売促進費用がかさんで共倒れという状況になるかもしれない。

ということで、携帯電話各社の業績はNTTドコモのiPhone導入による競争激化により悪化する可能性があるが、iPhone新規取扱いキャンペーンや新料金体系キャンペーンが大々的に打たれると思われる。テレビを始めとする様々なメディアで広告合戦が繰り広げられ、各社の業績がどうなろうと、大手広告代理店やテレビ局にはビックチャンス到来といったところだ。NTTドコモのiPhone販売で漁夫の利を得るのは電通(2324)、博報堂DYホールディングス(2433)といった大手広告代理店や、フジ・メディア・ホールディングス(4676)、東京放送ホールディングス(9401)、日本テレビホールディングス(9404)、テレビ朝日(9409)、テレビ東京ホールディングス(9413)といった在京キー局、そしてiPhone販売元のアップル(AAPL)あたりだろう。株価にも少なからず影響を与えそうだ。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。