2013/03/12

世界最大の年金基金の売りに備えよ

世界最大の年金基金はどの国にあるかご存知だろうか?タワーズワトソン社の調査によると世界最大の年金基金は、私たち国民の年金保険料を運用している日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)とのこと。その運用残高たるや昨年末時点で111兆9296億円という超ビッグな額だ。どれぐらいビッグかというと、日本の国家予算は一般会計で100兆円近くだから、これよりも多い。よく分からない?それなら500億円持っている超VIPも、GPIFから見れば象から見たミジンコぐらいのもの、という例えではどうだろう。つまり、GPIFの運用資産はそれくらい巨大なのだ。

では、GPIFはどのように資金を運用しているかというと、基本となる資産配分比率を決めて資金をいろいろな資産に振り分けている。GPIFのHPに開示されている資料によると国内債券67%(±8%)、国内株式11%(±6%)、外国債券8%(±5%)、外国株式9%(±5%)、短期資産5%となっている。カッコ内は乖離許容幅といって、市場変動によってこの幅を超えることになったら保有資産を売り買いして基本となる配分比率に戻すのだ。国内債券が多いのは運用資産を国民の年金として支払う必要があるため、価格変動リスクの高い資産に投資して大損しないようにしているのだ。

ところで昨年12月末時点のGPIFの資産配分状況は国内債券60.14%、国内株式12.92%、外国債券9.82%、外国株式12.90%、短期資産4.23%となっている。勘の良い読者は、今時点だと国内株式の配分比率が乖離許容幅を超えているかも?仮に超えていたら日本株にGPIFの売り圧力がかかるんじゃないか?と思うかもしれない。

そこで、3月5日時点で資産配分状況がどうなっているか試算してみた。試算にはGPIFが運用成果を測るために使用している各資産の市場指数と、データの取得できなかったものは近い値動きをする市場指数を使った。 試算の結果は、国内債券58%(-9%)、国内株式14%(3%)、外国債券10%(2%)、外国株式14%(5%)、短期資産4%(-1%)であった。カッコ内は基本資産配分比率からの乖離幅だ。このまま年度末を迎えると、基本資産配分比率を変更しない限り、GPIFは国内債券を買い増して、他の資産を売り越しすることになるかもしれない。

では、仮にどのくらいの規模で売買が行われるのだろう?試算では国内債券は7兆円の買い増し、国内株式は4兆円の売り越し、外国債券は3兆円の売り越し、外国株式は6兆円の売り越しになりそうだ。差分の5、6兆円は年金支払いのための取り崩し額としている。もちろん市場に大きなインパクトが生じないように時間をかけ、小口化して売買を行うだろうが、最近の東証一部の売買代金が1日2兆円くらいなので、GPIFが日本株を売るとなるとその売り圧力は相当なものになるだろう。

報道によると、GPIFの理事長は3月の年度末の数字を見て4、5月に方針を決めるようだ。3月末まで株価上昇が続くようであれば、4月以降はGPIFによる日本株売り、外貨資産の売却と円買いによる円高というシナリオもあるかもしれない。含み益がある投資家は4月中にいったん現金化することも考えておいた方が良いかもしれない。(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。
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