今年8月末、米アップルと韓国サムスン電子の特許・デザイン訴訟で陪審員による評決が出ました。米カリフォルニア州の連邦地裁の陪審員は、サムスンにアップルへの10億5000万ドルの賠償金の支払いを命じる評決を下しました。
訴訟の対象となったサムスンの製品は、権利侵害の度合いに応じて4つに分類できます。1つめは何の侵害もなかったもの、2つめはインターフェース特許の侵害のみが認められたもの、3つめはインターフェース特許とデザイン特許の侵害が認められたもの、4つめは各種特許やデザイン特許に加え、トレードドレスを侵害しているものです。トレードドレスとは、一目見てその商品と認識できる全体的なイメージのことです。
賠償金額は、侵害度合いによって大きく異なります。インターフェース関連の特許の侵害のみが認められた製品の場合、スマートフォン1台あたりの賠償金額は平均2.7ドルほどです。しかし、インターフェースとデザインの侵害が認められた製品では、スマートフォン1台あたりの賠償金額は平均52.5ドルほどとなり、20倍に跳ね上がります。
賠償金額が大きく異なる理由は、アップルの賠償金額の計算方法が2種類あるためです。アップルは、インターフェース特許のみを侵害した製品ついては、スマートフォン1台あたりのロイヤルティーを要求しました。一方、デザイン特許とトレードドレスを侵害した製品は、サムスンがその製品の販売で得た利益のすべてを要求しました。陪審員は、デザイン特許を侵害した製品について、アップルが主張する金額の4割を認め、トレードドレスまで侵害した製品はさらに賠償金額を上乗せしました。
この裁判から、いかにアップルがデザインに力を入れているか分かります。今回の裁判は影響力も大きく、デザイン特許の価値を改めて再定義した裁判だと言えるでしょう。