統合失調症への名称変更、治療に前向きに


製薬会社のヤンセンファーマは、国立精神・神経医療研究センター名誉総長の高橋清久氏と共同で、統合失調症のイメージや症状の理解と認識に関する意識調査を実施し、その結果を発表した。統合失調症はかつて精神分裂病と呼ばれていたが、患者への差別や誤解を生み出しているという経緯で、2002年に名称が変更された。

名称の認知度は、統合失調症が55.6%、精神分裂病は64.6%と統合失調症より高かったが、93.0%の人が統合失調症のほうが「自分や身近な人がなった場合でも抵抗なく使える」と答えた。

統合失調症になったらどうするかを聞いたところ、「自分が診断されたらすぐに治療をしたい」が45.4%、「家族が診断されたら治療をすすめる」が83.6%だった。恥ずかしい、受け入れられない、隠すという意見はごく少数にとどまった。

統合失調症の原因について尋ねたところ、「人間関係のつまずき」が原因と考える人が最も多く57.6%で、「脳・神経の障害」と正しく理解している人は43.6%と半数以下だった。

統合失調症の患者への意識を調査したところ、あなたの知人や近所に統合失調症の人がいたら、「他の人と同じような近所付き合いをする」と答えた人は46.0%、「困っているときは、できるだけ手を貸すようにつとめる」は30.0%、「統合失調症で入院した人でも信頼できる友人になれる」は41.2%だった。しかし、「結婚などで統合失調症の患者が家族の一員になることを受け入れられる」という質問に「そう思う」と答えた人は19.8%だった。

今回の意識調査の結果について、高橋清久氏は「身内や家族が統合失調症と診断されたら『治療を優先する』という意見が高く、かつての身内の精神疾患を隠すという考え方が薄れ、病気であるから治療するという本来のあるべき姿に近づきつつある」と述べている。

調査は、2012年5月11日〜5月14日の間、全国の20~69歳の男女500人を対象に実施した。